「正しい口腔ケア」

「正しい口腔ケア」

「口腔ケア」とは、口の中を清潔に保つことで、口腔内のみならず、体全体の健康を保つケアのことです。具体的な方法は、ご自身で行うセルフケアと歯科医院で行う定期的な歯のクリーニングです。ご年配になると食べ物を飲み込むことやしっかり噛んで食べることが難しくなっていきます。それらは、口腔内の機能の低下によって起こります。それにより食事がスムーズに行えないと、栄養を十分に摂取することが出来ません。栄養不足状態が続くと、運動機能の低下や認知症の進行などが起こりえます。そのため、口腔機能の低下を予防するためには「正しい口腔ケア」が重要となります。

歯ブラシの選び方

歯ブラシの選び方

歯ブラシはお口の中の症状や特徴に合わせて変えることがおススメです。痛みがない方や歯ブラシの圧が強くない方は、歯ブラシの毛がフラットなもので毛の硬さは“ふつう”のものが、歯茎に痛みがある方や歯ブラシの圧が強い方には、“柔らかい”歯ブラシで、歯ブラシの形はフラットなもの、または毛先が細くなっているものがおススメです。歯並びが前後しているなどの方には、なるべく小さな歯ブラシ、または、ワンタフトブラシという歯ブラシの形が三角形になっているタイプも細かいところまで磨けるのでオススメです。

歯ブラシの持ち方

歯ブラシの持ち方

歯ブラシの持ち方は、ペングリップ(鉛筆を持つ持ち方)が良いとされています。この持ち方をすることで、歯も歯茎も傷つけることなく、適度な力で磨くことができます。磨く時は、歯ブラシの毛が広がらないくらいの力で行うことが望ましいです。その他に、パームグリップという持ち方があります。この持ち方は、歯ブラシをグーで持つ持ち方ですが、力が入りすぎてしまうと歯の表面を傷つけてしまったり、歯茎が下がってしまったりするので、コントロールが難しくなってしまいます。

歯ブラシの当て方

歯を1本1本磨くように意識し、1本の歯に対して10回ほど磨くようにしましょう。

前歯の場合

前歯の場合

表面
基本は歯ブラシを縦にして磨いてください。歯と歯茎の境目を磨くときには、歯ブラシを横にして毛先を斜め45度に当てて磨いてください。

前歯の場合

裏面
下の前歯の裏側は歯石がつきやすいところです。歯ブラシを縦にし、歯ブラシ全体を使いながら奥から手前に向かって磨いてください。

奥歯の場合

奥歯の場合

表面
奥歯は歯ブラシを横にし、毛先を歯面に対して90度に当ててストロークしてください。また、歯と歯茎の間を磨くときは毛先を45度にして当ててください。

裏側
「裏側は舌があったり、見えにくかったりするため磨き残しが多いです。上の歯の裏側を磨く場合は、歯ブラシを少し下に向けた状態で斜めに動かしてください。下の歯の裏側を磨く場合は上とは逆で、歯ブラシを少し上に向けた状態で斜めに動かしてください。

咬合面(噛み合うところ)の場合

咬合面(噛み合うところ)の場合

噛む面は溝に汚れが溜まるため、虫歯になりやすいです。そのため、横から歯ブラシを入れて細かく動かしてください。様々な方向に溝が入っているので、歯ブラシも様々な方向に動かすと効果的です。

歯間ケア方法

歯磨きは、歯の表面の汚れの除去に適しています。
歯間ケアは、歯磨きでは届きにくい歯間の清掃方法です。
ここでは、3つに分けてご紹介します。

①	フロス

1.フロス

歯間の清掃に最も適したもので「ワックスタイプ」「アンワックスタイプ」があります。
ワックスタイプの方が使いやすくほつれにくいので、初めてご使用される方にオススメです。アンワックスタイプは切れたり、ほつれたりする場合がありますが、歯肉まで通しやすく適合が良好なため、フロスを使い慣れている方にオススメです。使用後は捨ててください。

②	糸ようじ

2.糸ようじ

プラスチックのホルダーとフロスが一体化されています。
奥歯の使用、子供やご年配、初心者の方にも簡単にお使いいただけます。
ほとんどのものが使い捨てタイプです。

③	歯間ブラシ

3.歯間ブラシ

歯と歯の隙間(歯間)が広めの方におすすめです。真っ直ぐなタイプは前歯に適しており、曲がっているタイプは前歯と奥歯の両方ともに使い易いです。歯間ブラシのサイズは、歯間の広さによって異なります。誤った使用を続けると隙間が広がりすぎたり、歯自体が削れてしまったりするため、注意が必要です。使用後はよく水洗いし、歯ブラシと一緒に乾燥してください。歯間ブラシの中には使い捨てのものがございますので、ご使用の際はお気を付けください。

毎日の歯みがきだけでは十分な汚れは落とせません。フロス等で歯間の掃除を行う事も大切です。ぜひ、毎日のセルフケアに歯間ブラシを取り入れてみてください。セルフケアをきちんと行い虫歯、歯周病を予防していきましょう。

歯科医院で行う定期的なクリーニング

歯科医院のクリーニングでは、歯磨きでは落としきれない歯垢・歯石、コーヒー・紅茶などの着色、ヤニ汚れなどを除去します。
クリーニングを定期的に行う事は、虫歯や歯周病予防にも繋がります。
そのため、当院は定期検診をオススメしています。
定期検診では、歯周病検査・クリーニング・歯間ケア・歯面清掃・フッ素塗布を行います。
治療時間は30分~1時間程、通院の間隔は1か月~6か月程となり、どちらも患者様の口腔内の状況により異なります。

クリーニングの詳しい内容
  • 歯周病検査

    歯周病検査

    1)歯周ポケットの深さ
    歯周ポケットとは、歯と歯茎の間に出来た隙間の事です。歯周病の進行度を調べます。
    2)検査時の出血の有無
    歯肉の炎症度を調べます。
    3)動揺度
    歯周病の進行に伴い歯の動揺(グラグラ)が生じます、その動きの程度で進行度を調べます。

  • クリーニング

    クリーニング

    主に超音波スケーラーを使用します。超音波スケーラーは金属製のチップを振動させる機械で、歯周ポケット内の洗浄、歯垢、歯石、着色、ヤニ汚れを優しく取り除いていきます。
    場合により、手用スケーラーを併用することもあります。手用スケーラーは全部で5種類あり、歯面や根面に付着した歯垢や歯石汚れを除去するために用いられます。

  • 歯間ケア

    歯間ケア

    隙間専用の補助用具です。歯間の歯垢除去の際に使用します。
    歯科衛生士が患者様の歯間の広さによって、フロスと歯間ブラシを使い分けます。

  • 歯面清掃

    歯面清掃

    歯の表面に歯磨き粉を塗り、歯全体を電動歯ブラシで磨きます。歯磨き粉にはトリートメント効果があり、歯の表面を滑らかにさせる効果があります。これにより歯垢がつきにくい歯面に仕上がります。

  • フッ素塗布

    フッ素塗布

    歯全体にフッ素を塗ります。フッ素には「歯質を強化する」「溶けたエナメル質の修復」「歯垢の細菌の活動を抑える」という3つの効果があります。これらは、フッ素を定期的に塗ることで更に効果を発揮します。

    フッ素塗布

    その他にも、歯磨き手順の確認や情報提供などを行うことで、皆さまのお口の健康をサポートさせていただきます。ご不明点などがございましたらお気軽にお声かけください。